レポート

第3回 誰が森を守るのか?

第3回目のテーマは,「誰が森を守るのか?」=「誰が森の担い手となるのか?」

時代が変わる中で,以前からの担い手が残る一方,新しい担い手が必要。
→林業従事者や,かつての森林ボランティアでもない形
→一つの形として,木の駅プロジェクトが登場

今回の講義の目標は,「森林に関わる人の役割について考える。」

1.振り返り

現在の日本の課題=人工林(拡大造林期の植林,計算すれば日本の森の25%程度)。以前は薪炭林(薪,炭),灰を肥料として使うなど農業と密接に関わっていた。

時代は,育てる時代から利用の時代へ(25年ほど前から)。ただ,外材の輸入が始まり,和室も減った結果,住宅の柱(約40年で伐期を迎える)としての需要は減退していた。

林業は次第に大量生産とコスト削減の時代へ。木材の大量輸送と直送システム。
→分業化,専門化が進み,生活から離れていった。
→新生産システム,新流通システム。ともに失敗。民主党時代,森林・林業再生プラン(自給率を50%)

高性能林業機械の普及,オペレーターの普及
→量は生産できるようになった。結果,流通を広げる必要が登場
→集成材,直行集成材(CLT),FIT制度,木質バイオマスエネルギー
→ただ,材としての買取価値は低く,だんだん森林所有者の実入りが減少

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2.森林に関わる仕事とは?

森を育てる人・・・人工林の場合は密植。1haあたり現在は3,000本(1.8m間隔)。疎植で1,000本。1万本以上植える地域もあった。最終的に1,000本にすると考えると,何年で9,000本を間引くのか。密植している場合,年輪が狭くなる。間伐材の利用も考えながら,最終的な主伐までを視野に入れた森全体のプランを立てる必要がある。間伐も収益源。かつては,労賃と比較して間伐材の価格が高かった。昭和38年くらいといまが同じ値段。いまだと回らない。
木を伐る人・・・伐る技術を持った人。
森を活かす人・・・木材をどう販売するか?これまであまり考えて来られなかった。

上記の3者と森林所有者の関係は??里山でできることは?これからの役割を考える。

“これからの”森を育てる人・・・昔からの地域は森のサイクルが何巡かしているが,戦後拡大造林期に植えた地域は1巡目が終わったところ。大半の地域がここ。用途の違いが本数の違いになるように,最終的な利用法を考えた上で何を育てるか考える。
例えば,
・レクリエーション用の森・・・果たして育てる必要があるか?景  観,資源量の確保。
・葉っぱビジネス用の森・・・紅葉,色鮮やかさや採り易さなど。以前(スギやヒノキを植えていた時代)はゴールイメージははっきりしていた。これからはない時代。デザインする時代,つくる時代。計画者は最終形態は見れないが,それでも考えなければならない。例)明治神宮
“これからの”木を伐る人・・・ほぼチェーンソーだが,チェーンソーではなく高性能機械で伐る地域も現れた。ただ,切れる木のサイズに限界はある。これからどんどん大きな木が登場する中で,必要な技術も変わって来る。
“これからの森”を活かす人・・・今後,最も必要になる。難しいけれど,木材としての利用法以外を考えなければいけない時代。住宅以外の利用をどう作るか?

オペレーターになると,全体像や持続的なプランを考えるのが難しくなるが,今後はそのような人が必要。森林所有者の立場に立っている人がほぼいない。担い手がどこに立脚するかを考えることが大切。

3.森林所有者の管理意識低下の背景

森を持っているとお金が掛かる,責任を負わされる・・・持ちたくない。
経済的価値低下→所有と施業分離→世代交代→不在村。この悪循環によって山離れが進んだ。五十苦・・・境界がわからない,知識がない,技術がない,品質を評価できない,売り方がわからない。

森林所有者の立場に立つ人が少ない。そこで,森づくりに関わるツールとして,
「境界確定・・モリタン,健全度・・・モリケン,価値・・・ヤマタナ」
これらが理解できれば,将来のことが考えられる。

山主が主役のヤマタナ。導入により未来の森づくりのきっかけに。かつて農村と密接にリンクしていた里山。ただ,山主ひとりで考えるのは難しい。みんなで考える。需要の創造や担い手の育成。山主を山主にする。モリケンとヤマタナによって,山と森を知る。

森の健康診断・・・森の健全度を測る。愛知県の矢作川流域から全国へ。樹高や土壌や植生などから。学びながら調査。

山の棚卸し・・・モリケンの先。健全度が分かった後に,その価値を知る。山主が山の資産価値を知り,愛着を持って管理できるように。森林所有者の意識を変える。木を試験的に一本切り倒し,輪切りにして調査。100平米を基準にプロット調査を実施する。木材としての価値や成長予測から森の管理方法を山主と考える。

そこからの木の駅プロジェクト。市民が森に携わるきっかけ。農業を始めるとしたらまだイメージできるが,林業を始めるとしたら?チェーンソー,トラック,重機,,,木の駅プロジェクトは,参加のハードルを下げるしくみ。チェーンソーと軽トラだけで始められる。木は育てる時期と伐る時期で必要な機械も違う。

木の駅プロジェクト・・・全国70カ所。丹波市でも篠山市でも。丹波市では現在参加者70名ほど。もっと広げたい。ストックヤードに軽トラで持ち込んできてもらう。現状は6,300円だが,これはチップ用の木材の値段。

丹波市で木の駅プロジェクトを運営して分かったこと・・・チェーンソーを扱える人が少ない。シニアの参加者中心。出荷ランキング上位は自治会。農繁期には活動停止。

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その後,講義では『これからの里山は誰がどの様に関わるのか?』をディスカッション。高性能機械はどんどん登場しているが,機械を持てば量を処理する必要も生まれるし,みんなが所有できるわけではない。

里山のイメージ:1ha未満が多い。1カ所ではなく点在して所有しているケースも多い。
・木材以外のものは作れないか?竹?
・生物観察の場?
ちょっとずつ違う森を保有する山主に,利用可能なアイデアを提供できるか?農業と違いサイクルが長い。そして,一事業者のことだけで終わらない。すぐに解が見つかるわけではないが,思考を続けることが大切。

こうして,月曜の夜は更けていきました。

(ファシリテーター:ポン真鍋)