レポート

第6回 森に値段をつけよう!

さあ,「これからの里山林業創造プロジェクト」も第6回。今回のテーマは「森に値段をつけよう!」です。前回の「山の棚おろし」で分かったのは,現在の森の価値。工夫することで,この山の形を高めることはできるでしょうか?

森と山林は何が違うのでしょう?山林というと,木材生産の山と考えられます。では,里山とは何でしょう?篠山は,最高峰でも794メートル。険しい山々ではありません。平野部は100メートル。その差は700メートル。周囲に田畑があり,集落があります。森から少し広がりを持った範囲と考えてもよいでしょう。

現在の森林所有者の状況は,「山になかなか入れない。退職後,少し山に関わっていける可能性はある。山の価値は分かったとしても,誰が切って,搬送にどれくらいのお金がかかるのか?」この辺りを分かっている人はほとんどいません。こういった所有者が典型的な篠山の所有者と考えられます。前回のヤマタナの所有者さんも同じような状況でした。

前回の調査では,調査地総利用材積7㎥で,調査地金額は87,414円。所有者さんの予想は10万円であったので,予想よりやや低めでした。果たして,これを伐採して,搬出して,造材した場合に価値が残るのでしょうか。このヤマタナにおける受講生の気づきは,45年掛けて作ったものと考えると,やっぱり圧倒的に安いということでした。ヒノキの木材値段も最高時は4万。現在は平均で1万3千円。およそ約3分の1です。

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今日の目標・・・対象森林の最大価値を探る。

現時点の資源量と価値はヤマタナで分かりましたが,この結果をもとに,対象森林の最大価値を探ります。

これからの里山利用。
①木材価値・・・ヤマタナから推計できました。
②木材利用方針・・・どのように活用するか?
③これからの里山利用について・・・活用により将来どのような里山になるか?

木の値段は相場によって変動するします。また,農業が市場出荷するか産直で販売するかで野菜の価格が変わるように,木材も販売方法で価格が変わります。ただ,その場合,別の労力が必要となってきます。

さて,価格を高くするためにはどんな方法があるでしょうか?様々な意見が出てきます。

スクール生Aさん:原木市場で売っている以上は一緒では?加工は?炭とか?
→その場合,加工賃など別のコストが掛かる。採算が合うでしょうか?

スクール生Bさん:立木の平均単価を上げることはできないか?中国の富裕層に売るとか?
→木材の輸出は港との距離がすごく影響を与える。篠山の場合,神戸ではなく舞鶴。

スクール生Cさん:尖端部分の利用は?エッセンシャルオイルなど。小規模での流通は可能か?

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林業の場合,ビジネスを仕掛ける人と所有者が異なるケースが多いです。所有者にきちんとお金が還元するような仕組みが必要です。

スクール生Dさん:太陽光発電はどうか?
→現在,景観条例などで規制が増えている。木材を集める難しさがあるが,バイオマス発電は次第に小規模化している。でも,森の多面的機能はどう考える?

少し前までは自分のための山だったが,現在は公益性が求められています。実際,「森づくりのために木材を使いましょう」と言われ始めました。

里山資源の活用事業としてはこんなことを考えねばなりません。
・資源量 品目と量
・生産体制と生産量 ㎥/人日
・事業規模
・循環サイクル(持続性)
・森林所有者への還元

例えば,近年,CLT(Cross Laminate Timber)の利用が可能となりました。CLTはヨーロッパで以前から市場規模が拡大していました。現在,日本で導入が図られており,法整備をし,人材を育て,生産力を増強しています。5万㎥から10万㎥に生産を拡大し,単価15万から半減させようとしています。

スクール生Eさん:考え方の転換。放っておくことが最大の問題と考えると,半径100メートル以内で全部使い切るという考え方は?
→過去,そういう施策もあった。所有者の費用負担ゼロで,間伐を促していた(切り捨て間伐)。篠山は切り捨て間伐が盛んだが,国としてはバイオマス発電に利用したいので,搬出間伐が推進されている。

スクール生Fさん:所有者が最初から関わるのは難しそうなので,そこを考えていると後手後手に回りそう。最初は所有者を置いておいて,業者が入る形でもよいので動かす方が重要では。それでうまくいく地域が出て来ると周囲に真似る地域は出て来るのでは。

スクール生Gさん:地域の人だけでは管理は難しいのでは?一方で,都市にも山に入りたい人は少なからいるだろうから,篠山は大阪などからのアクセスも悪くないし,みんなに山に入ってもらえるような仕組みを作っていけば?

スクール生Hさん:野生に戻すことはできないのだろうか?
→そもそも日本にはもう原生林と呼ばれるものはない。本当に原生林のままでよいのか?

かつて私有財産だったものに公益性が求められています。山には矛盾が多いと言えます。ゆえに仲介する存在はきっと必要です。山自体を放棄する人がどんどんと出て来ると状況は変わっていくと思われます。

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山の活用は知れば知るほど,難しさばかりが見えてきます。まだまだ里山林業と呼べるものは残念ながら見えてきません。ただ,最後に感じたのは,どんなビジネスをするにも里山のあるべき姿を考えることが重要ということでした。さあ,能口さんの講義は残すところあと1回。最後まで考え抜いていきます!

コーディネーター ポン真鍋