レポート

第3回 「暮らしを旅する」ツアーを体感する

このCBLでは、地域の人々の暮らしを体感できるツアーを企画する上で必要な視点、ノウハウを学び実践していきます。

3回目の今回は、前回の講義で学んだ、“地域でツアーを実施すること”を実際に体験すべく、篠山を飛び出し、講師の森さんがツアーを実施している滋賀県高島市へ行ってきました。

スクール生はJR近江高島駅に集合、森さんと合流し、ツアースタート!!

まずは、滋賀県の中での高島市の位置関係や、今日案内していただく畑地区、針江地区の場所のイメージをマップでつかみます。

ツアーにストーリーを持たせる

今回のツアーは

“「近畿の水がめ」琵琶湖の源流にある暮らしを訪ねる”

というタイトルのもと、その水の流れに沿って旅を進めていく構成で、単純に高島のおすすめスポットを巡るツアーではなく、ツアーにストーリーを持たせた構成にすることで、より印象に残るように感じました。

最初に訪れた「畑地区」は近江高島駅の町中から車で20~30分ほど、急斜面に棚田が広がる静かで美しい里山でした。
ここ畑地区は、過疎化が進み、2015年時点で26世帯78名ほどの人口で、高齢化率は50%を超える地域ですが、積極的に棚田オーナー制度を実施したり、5軒も農家民宿をやっている方がいらっしゃるというのは驚きでした。

畑地区を歩いて散策する中で、森さんからここで暮らす人たちの生活の知恵や暗黙のルールなど、いろんな話を聞かせていただきました。

途中、農家民宿を営業されている地元の方のお宅にごあいさつに行くと、「よかったら家にあがっていき~」とお茶を出してくれたり、思わぬおもてなしが嬉しくて、ついつい長居してしまう居心地のよさでした。

前回の講義の中であった「偶然の出会いを大切にする」ことで、地域の方々とのより深い交流が生まれツアーの満足度が上がることを体感し、スケジュールの「余裕を持った時間配分の重要性」も同時に感じました。

「畑地区」で生まれた綺麗な水は河口の方へ、琵琶湖の方へ流れていきます。
お昼からは河口へ向かい、湧き水と共に暮らす「針江地区」へ移動します。

「針江地区」のお母さんたちが用意してくださった琵琶湖の魚を使ったお昼ご飯を頂きながら、針江の話や、琵琶湖のお話を伺いました。
お昼ご飯の大きなビワマスは昨日釣れた新鮮なもので、臭みもなくとても美味しく、みんなで綺麗に食べ尽くしていると、地元のお母さんたちも「今回初めて作ったから心配していたけど、こんなに綺麗に食べてくれてよかった~!」と嬉しそうな姿が印象的でした。
普通の飲食店では味わえないような地元のお母さんの手料理と、そこから生まれる交流はこのツアーでしか味わえない大きな魅力だと感じました。

お昼をいただいたあとは、「かばた」見学ツアーへ。

「針江地区」の方々は、昔から湧き水を生水(しょうず)と呼び、水を大切にして暮らしてきました。
その湧き水を生活用水として利用した空間を「かばた(川端)」と呼び、昔は各家庭にこの「かばた」があったそうです。今でも多くの家庭で使われており、生活の一部として根付いています。

「かばた」見学ツアーは、地元の方が有償ボランティアとしてガイドをつとめるのですが、案内いただいたお母さんのお話の中で、

「かばた」の水を使うときは、上流の人は下流の人を思いやって汚いものは流さない。下流の人は上流の人に感謝して暮らしています

という言葉がとても印象的で、一緒に暮らす人々を思いやり、地域全体でこの「かばた」という文化は守られていることを感じました。

湧き水の飲み比べや、水辺の生き物のお話、地元のお魚屋さんに立ち寄ってお話を聞いたりをする中で、初めて訪れた場所なのに、ツアーが終わるときには身近な場所に感じている自分がいることがとても不思議な感覚でした。

さらに、今回は特別に普段の案内に加え、地元で住民を中心にガイドを広げていく際の経緯や苦労について「針江生水の郷委員会」の方にお話を伺いました。

「かばた」ツアーを続けることは、もちろん苦労もたくさんあるが、
地域のお年寄りが元気になった!街がきれいになった!など
地域にとってよい効果もたくさん生まれていると話されており、何よりも「自分たちの街に誇りを持つようになった」ことが「地域を守る」ことに繋がっていると話されていました。
自分の街への誇りが、また訪れる人へのツアーガイドの原動力となり、とてもよい循環が生まれているように感じました。

地域の人 と お客さん をつないでいく仕事

今回、暮らしを旅するツアーに参加して一番に感じたことは、地元のことをよく知っている人に案内してもらうことで、普段の旅では通り過ぎてしまうような景色に気づき、そこで暮らす人の想いに触れることができる、ということです。

ツアーを終えて、改めて振り返ってみると、きれいな棚田の景色や、おいしい湧き水よりも、旅で出逢ったおばあちゃんの笑顔や、自分の街について誇りをもって話してくれた地元のおっちゃんの姿が心に残っていたりします。

地域でツアーをつくるには、地元の人とよい関係を築き、「ガイド」が「地域の人」と「お客さん」をどう繋ぐか、その「コーディネート」の役割が重要だと感じました。

今回のツアーを踏まえて、次回からは自分たちで篠山を舞台にツアーを企画していきます。

果たして、どんなツアーが生まれるのか?

期待が膨らみます!!

記事:小寺亜也香(プロジェクトサポーター:スクール1期生)

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