レポート

第6回 オリジナルツアーを開催する

4月のキックオフガイダンスに始まり、5回にわたる授業で講師の森さんから地域観光資源の発掘やツアー企画・運営のノウハウを学んできました。その成果を、実際に受講生がオリジナルツアー企画を実施するというのが今回。いわばいままでの集大成としてこの日を迎えました。
短い募集期間でしたがありがたいことに一般のお客さんにも参加してもらえました。

7月8日(土)、本番当日。梅雨前線が停滞しており直前まで雨予報でしたが、奇跡的に当日は晴れよりの曇り。

チームを2つに分け、午前の部・午後の部とツアーを実施します。

午前の部は、
おいしいね!丹波茶「丹波茶とゆかりのお寺めぐりサイクリング《お茶菓子つき》」ツアー。
篠山口東口にて集合、そこで電動アシスト付レンタサイクルを借り、味間地区の茶畑を通り抜けながら寺院や古民家を訪ねるコースです。

時間通り手続きを終え、出発。
駅の西側へ移動、線路を渡るとすぐのところに旧街道が伸びています。そこは、全国を徒歩で測量し歴史上はじめて正確な日本の地図を作った、伊能忠敬が歩いたとされる道。当時とほとんど変わっていない線形を辿るということで、趣が一層深まります。

10分弱、のどかな民家の並ぶ道を通ると出会うのが二村神社参道の入り口にそびえ立つ大きな石鳥居。
ここを南へ迂回し文保寺楼門(仁王門)に立ち寄ります。指定文化財である仁王門には2体の金剛力士像が収められています。実は、そのうち1体が点検中で留守なのですが、そのお像のお腹の中からお経やお金などの財宝・研究資材が発見されているという貴重なお話を、研究者であられるツアー参加者からゲスト講義していただきました。

文保寺楼門を後にし、前方に迫る多紀連山に向かって風を受けながら緩やかな下り坂を進みます。篠山らしい盆地の特徴をよく感じられます。両脇には谷あいに広がる茶畑と山々に囲まれ、サイクリングにぴったりな爽やかな道のりです。

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茶畑を抜けると、丹波茶まつりの舞台の一つ、
「大国寺」と「アメリカ人陶芸家のご自宅」を訪れます。
約700年前に建立された大国寺の歴史ある縁起や、現代では歴史空間を活かしてコスプレイベントや寺コンなど積極的に新しい取組みを行っているお話を住職から伺いました。

丹波篠山に移住し開窯したアメリカ人陶芸家は地元では有名人で、築150年以上とされる古民家をほとんど自分の手で改装し、大切に住み継いでいます。茶道家としても活躍されている氏邸にはお茶室や美しい庭園があり、丹波茶まつり開催中は一般開放してお茶会を開いています。

丹波茶の里を守ってこられた住人の皆さんのお話を聞き、いよいよ最後の目的地、茶遊菓楽「諏訪園」本店へ。
こちらは、丹波篠山で丹波茶(味間茶)の栽培とお菓子の製造を昭和40年頃から営んでいる老舗名店。
本日はおいしいほうじ茶に合わせて生麩の和菓子(こし餡入り/ゆず餡入り)をみんなでいただいて一休み。お茶のお土産も購入!

リフレッシュできたら、一気に篠山口駅まで戻ります。帰り道は緩やかな傾斜なので、お茶畑や田園を通り抜けながらスイスイ~。あっという間に、篠山口駅に戻ってきました。

皆さん、ケガもなく無事に到着できました。
ただ地図を追うサイクリングではなく、地元の方のお話しを伺いながら土地の文化と歴史に一歩踏み込み、味間・丹波茶を五感で楽しめたツアーだったのではないでしょうか。

午後の部は、
丹波篠山城下町 粋な楽しみ方ツアー
河原町妻入り商家群を探検。

丹波篠山の城下町といえば、大書院~二階町エリアのイメージが強いのですが、同じく城下町の一角をなす河原町エリアあまりよく知らない・わざわざ足を伸ばさない、という方も少なくないようです。そこで多くの古き町屋の姿が現在も守られている国の重要伝統的建造物群保存地区「河原町妻入り商家群」にさらなるスポットを当てよう、ということで企画されました。
14時、河原町の西側の入り口にある本篠山集合。
ありがたいことに、近隣にすむ住民の方がふらっと当日参加していただいたりと、7名の一般の参加者に集まっていただきました。
天気はさらに晴れ。7月らしい日照りが強く、水分補給を促しつつ、出発!

河原町は東西に長くうねりながら続く街道沿いにある町屋街です。西の入り口=下河原町に入ると早速、昔からあるおみやげ処森本にて黒豆茶をいただきました。

その向かいには、重要伝統的建造物群を代表する伝統住宅、西坂家邸・川端家邸を臨むことができます。狭い街道は自動車の往来も多いので気を付けつつ、明治時代に建築された両家の外観を見ながら、格子や屋根の形、「妻入り」・「平入り」の違いを説明します。

中腹に差し掛かると古い時代の役割を終え新たな方法で使用されている施設や商店がたくさん並んでいます。
森本書房には軒先で小さなアクセサリーショップを併設、古民家をリノベートしたカフェ、そばがきのしろぜんざいも美味しいおそば屋さん、丹波ワインも並ぶワインショップ、現在は公民館として使用される元銀行の鳳凰会館、雑貨屋、オーダーメイドジュエリー工房、蔵のなまこ壁が美しい古陶館…。

一行は、その中の1件である昔ながらの畳屋さん「多谷畳店」に立ち寄りました。
古い建造物がたくさん残る篠山だからこそ、新興住宅を建てる業者ではなく個人からの依頼で成立しているという昔ならではの製法で畳を作っている多谷畳店。本来の畳は湿気を呼吸のように吸収・放出できるので、漆喰の壁に良い影響を与えるというお話や、近隣の建物について古く伝わるお話などを聞かせていただきました。

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河原町中腹からいったん北側の王地山方面に迂回します。
河原町を見下ろす王地山のふもとに建立された本経寺を参り、その先まけきらい稲荷の参道の脇にある、小さな陶器所に立ち寄ります。
こちらでは当時の篠山藩主 青山忠裕が築いた藩窯で作られた短命の名器「王地山焼」が展示されています。独特の青み掛かった緑色の青磁の彩に触れていただきました。

陶器所を出て山道を進むと、立ち並ぶ鳥居のトンネルと石段。「まけきらい」の由来である昔話の背景を説明しながら、お稲荷さんが青山公のために力士に化け、大江戸場所で相撲をとったとされる絵を見学しました。

まけきらい稲荷の裏道をゆくと、篠山市でも人気の温泉宿「ささやま荘」にたどり着きますが、その途中にミュージックサイレンという巨大な音楽塔、と呼んでよいのでしょうか、大きな設備があります。実は篠山市民の間でもあまり知られていませんが、昼3時に流れるデカンショ節の音源がここ王地山にあるのです。地元参加の方も関心されているようでした。
終盤、創業100年を越える八上屋城垣醤油店で山椒を漬けた大樽の見学、地元でも評判のお肉屋さんのコロッケをいただき、東側から再び西側へ戻りました。このエリアに建つ建造物はほとんどが江戸後期~明治時代に建てられたもので、もちろん改修や補強を行いながら、町並みが地元の住民の手によって保存されてきた、慎ましやかな雰囲気もあります。
千本格子やむしこ窓、出格子窓、うだつといった装飾を眺めるだけでも日本の伝統的な家屋の特徴を学ぶことができます。

また、地域に代々住んでいる住民の方は、やはりこの地区の伝統を守っているという誇りを持っている方が多いということが、お尋ねするとわかります。

町屋、そして寺社、王地山と王地山焼。河原町とは一筋の街道沿いに長い歴史と新たな文化が折り重なる奥深いエリアであることがわかりました。
最後に、おみやげ処森本でお土産とかき氷を買って、本日は解散。
今後、河原町ツアーをビジネスとして持続・発展させるためにどんな展開が期待されるのか、お客さんより様々なご意見もいただき、課題は残しつつも実りある時間となりました。

記事:梅谷美知子(スクール2期生)

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